EAsT 135 | ~イースト135~ 神戸市西区で米や野菜の有機農業。

活動記録

2023年草刈り&カレーイベントレポート

今年も行いました、EAsT135のイベント夏の陣、草とりです。7月の強い太陽光線降り注ぐ中、たくさんの人に参加してもらい開催いたしました。

水の張った田んぼの中に入って稲以外の草をとる、刈る、もしくは引っこ抜く作業です。水の世界に浸るので涼しげなイメージもあるかもしれませんが、そこは7月真夏の空の下、空調の効いた屋内で行うわけでもなく、ひたすら汗をかきつつしゃがんでせっせと作業に勤しんだみなさんでした。

2023のこの夏の集いもいろんな人が来てくださいました。九時半頃から人が現れて、十時には開始です。今回は子どもの数も多かった。それぞれ長靴、靴下や裸足でぬかるんだ田んぼに入ります。泥がトロトロの世界はやっぱり踏み入れた瞬間のファーストタッチに面食らいます。歓声、嬌声、奇声、さまざまな言葉が飛び交います。思うようにすすめない足元、水面に反射する日の光、予想以上に強い草の根の力。そしてかがむ姿勢からくる筋肉への影響。いろんな要素が次々とやってきますが、どうかそれらがすべて後々よき思い出に変わっていますように。

田んぼの中に出てくる草もいろんな種類がありますね。伸ばした茎ごとに根をつける草、厚みのある葉を展開する草、稲との違いがわからないくらい似ている草…。虫たちもそうです。水中にうごめくものでは、オタマジャクシは判別できるけど、あとはなかなかよくわからない虫やハ虫類もいます。空中ではトンボも活発です。生き物は環境に合わせて生態をつくっているんですね。田んぼというのは人工的な世界なのかもしれませんが、それでもいろんな生き物がそこで棲んでいるというのは、やっぱりおごりでもなく大事にしたいところだと思います。

同時進行で食事の支度もはじまっていました。火をおこし釜を炊く。湯を沸かす。野菜を洗い包丁で切り調味料で味をあわせる。炒めて混ぜて揉んで浸して整える。今回はカレーです。野外でたくさんの人数分の調理をするということは、あらためて感じますがたいへんなことですね。
足場のよくもない野地、衛生面にも最大限の気を配りながら支度をする。火や刃物も扱うので危険にも配慮せねばならない。いままで、ほんとにたくさんのイベントにてこういう作業が繰り広げられていたのですね。しみじみありがたさを感じました。
釜で炊くご飯も鍋もやっぱり緊張感が伴います。火加減、乾燥した草地に燃え移らないよう水をまく意識、うかつな動きをしたとき倒してしまわないよう体も規制がかかります。
こうして作り上げる食事は、味はもとよりもっと根源的な意味で旨さが伴うのかもしれません。

田んぼでは草をとって稲を育てる作業が行われ、休憩場所では料理が作られていく、そして区切りがついたときにそれらが合わさる。こういうのは労働の醍醐味というのか持ち味というのでしょうか、なかなか得難い体験であることは間違いないのでしょうね。

昼食の頃合いとなり、田んぼで作業していた人たちが戻ってくる。汗をたっぷりかいて、顔も紅潮して、息もやや荒く深く。泣いている子もいればどこにそんな元気があるのかと感歎するしかないくらい虫を追いかけて走り回る子たちもいる。冷たい水で補給したあとは、順次カレーやピクルスを手にとって、それぞれの場所で腰掛けて。

陽炎のように日差しが揺れる中、ぼんやりそんな光景を眺めていたらいろんなことを思い出しました。四年前、まだ場所が大谷という近くにありながら誰も外から伺いしれないのではという人外魔境のような地で行われたときの7月草とりイベントのときは小雨だった。連日来の雨模様で道もぬかるんでいて、でもその中でやった流しそうめんは面白かった。イベント企画代表の親方がすべって大ケガをしたのもこのときだった。翌年も大雨の前日は開催が危ぶまれたけど当日はなんとかこぎつけた。二年前はひたすら暑かった。草の量がすさまじく。去年はこの日だけ快晴だった。草がとにかくよく生えていた。

それにしてもいろんな人が参加してくれたなぁ。最初の頃に出ていまはもういない人たちもいたり、今回のようにはじめてお会いする人たちもいる。このイベントも来年はどんな風景を刻んでくれるのだろう。参加した人たちはどういう動機で来て、なにを得て帰っていくのだろう。このさきも交差することがあるのかな。まったく会話することなく時が過ぎた人もいたかもしれませんが、いかがだったでしょうか。稲のできる過程、工程を体感することで(お米という存在を含めて)食べるという行為がみなさんのもとに身近な存在になってくれたらうれしい。なにかを輸入するだけじゃなく、自分たちでもつくることができるかもしれない、できるかも、となったくれたらありがたい。野菜づくり、その野菜の履歴、購入などもあわせて、自分で(仲間で)できるなにかが誕生してくれたらおもしろい。厚かましいかもしれませんが、食にまつわるいろんな願いをずうずうしくも持ち合わせています。

こうやって文月の真夏の昼の夢のごとくな行事も、今回も無事開催できて、終了できてよかった。
スタッフのみなさんも準備から後片付けまでお疲れさまでした。とくに日々暑いときも寒いときも雨天時も田んぼを見守ってくれて今日を迎えたその努力には頭が上がりません。

それでは、参加されたみなさん、次回は十月とのこと。縁がございましたら再会をば。

(文・丸山)